11.20.2012

冬富士で起こったこと、考えたこと。




富士山御殿場ルートの六合目辺りで滑落事故に遭遇した。
まず最初に、亡くなられた方のご冥福を心からお祈りします。
下山開始







今回経験したことをブログに書くか迷ったが、
今後、少しでも登山者(自分含む)の糧になればと思い書く。
(もちろん、ならないかも知れないが)
状況は一緒に登ったかっちゃんのブログcloud nineに詳しいのでご参照を。
(一部食い違いや状況の違いなどがあるが、あえて感じたままを書く)


<天気について>
17日(土)は結構な降雨。翌18日(日)は前線が通過し晴れる模様。
気温は3〜4日前の寒波が去った後、上がる傾向(頂上付近でマイナス10度前後)。
ただ、登山天気(tenki.jp)によると前線通過後は風が強まり
富士山頂上付近では20m/sを超える予報だった。
我々の計画のポイントは以下のとおり。
・寒さより風がやっかいだろう(もちろん体感温度も)
・前日までの雨(または雪)で斜面が凍結している可能性も。
・逆に新雪が積もり、ラッセルまたは雪崩れの危険も視野に。
・リミットは12時に設定。その時点で下山
・風がきついと感じたら即撤退
・雪の状況が悪ければ撤退を検討
・誰かが不安を感じたら撤退
以上をパーティ全体のコンセンサスとした。
が、この段階では登れる人は登って、降りる人は降りるという考えもあった。
また、強風を想定していたものの、新六合目まで風も気にならず穏やかだった。

暑がりの自分は長袖メッシュ(ファイントラック)と薄手のウール(ibex)、
薄手のフリースのフーディ(Mイクイップメント)、手袋はミズノのブレスサーモのインナー。
下は化繊の股引(エバーウォーム)にソフトシェルパンツ(TNF)。


<事故遭遇直前〜遭遇時>
六合目小屋で休憩後、小屋を右へ回り込んでハイクアップ。
途中で山頂に向かって斜面を左へトラバースし夏道(ブル道?)へ。
やや谷になった個所を過ぎ、丸太が立つ尾根筋へ。
直登気味に進んでいたときに突風。全員耐風姿勢をとる。
耐風時、右腕上腕に小石(ピンポン球小?)が当たる。
落下物が当たるとヤバいと思い、約5m先を登っていた相方に「前を向け」と怒鳴る。
強風で聞こえず(実際は聞こえたが、小石などを避けるため再び下を向いたとのこと)。
落下物が直撃すると相当危険なので、急いで相方の所まで登る。
途中、上から水筒や携帯電話らしきものが流れてきた。
その後、黒っぽい上着(ダウンJKT?)が風に飛ばされつつ下へ落ちていった。
相方と合流する直前、シュラフのような塊が猛スピードで僕の2〜4m右側を落ちていった。
一瞬なにが落ちたか分からなかったが、下の方まで続く血痕を見て誰かが滑落したと確信。
「落ちた!」と叫ぶとともに、上を見て自分たちのパーティが無事かどうかを改めて確認。
その後、体が震えだした。


<遭遇後の対応・行動> ※記憶が混乱し時系列的に前後している可能性あり
自分は携帯を車に忘れてきたので、「誰か警察に電話してくれ」と大声で要請。
先頭にいたメンバーのひとりがすぐに携帯を取り出せたので110番通報。
僕は最後尾にいたため、メンバーが電話で話した詳細は不明。
ただ、滑落事故があり、だいたいどの辺りでということは伝えた模様。
再び突風が来る可能性があり、通報したメンバーが危険だったので、
一旦電話を切り丸太の立っている場所まで降りてくるように指示。
パーティ6名全員が丸太付近に合流し、ひと所にまとまって安全確保。
その後、遭難した方の同行者が上から(遭難者の)名前を呼びながら降りてきた。
我々と合流したところで、我々が見た状況と警察への対応を彼に説明。
メンバーのpisoが警察と話していたので、同行者に電話を渡し直接話してもらった。
電話を切った同行者に「落ち着いてください」と声を掛ける。
彼は「分かりました。ありがとうございます」という意味合いを口にして、
しばらく自分の電話で警察と話をしたあと降りていった。
すでに登る気持ちがまったく失せていたため、我々も早々に下山を開始。
ブルって体が硬くなっていたため、六合目小屋付近まで慎重に降りた。
六合目小屋付近の宝永山側に滑落した方が横たわっていた。
まわりに同行者と5〜6名の男性登山者がいた。
かっちゃんが同行者の方へ声を掛け、脈を確認してもらったが脈なし。
その時点で遭難した方はヘリで運ぶものと疑わなかった。
我々もしばらくその場にいたが、やることはもう何もないと思い下山することに。


<下山してから>
14時前後、御殿場署からpisoに電話あり。
状況を聞きたいので御殿場(署? 現場?)まで来てくれとのことだったが、
すでに富士宮まで来ていたので電話で説明させてもらうことに。
しばらくpisoが話していたが、滑落している最中を見たのは僕だけだったので
電話をかわりそのときの状況を説明して電話を切る。
その後、メンバーと別れそれぞれ帰路へ。
途中で再度警察から電話があり、滑落時の体感的な風速を聞かれる。
たいだい20〜30mと答えた(が、今考えるとそれ以下だったような気もする)。


<個人的な雑感>
以上が今回のほぼすべてだ。
事故遭遇後に自分たちが下した判断、行動が正しかったのかどうかは正直分からない。
自分たちのパーティを安全に下山させることしか頭になかったように思う。
翌日にある方のブログを拝見すると、遭難者を下ろす手伝いをしたとのこと。
下山を選択した僕らの判断は正解だったか否か。
僕たちも救助隊が来るまで現場に残るべきだったんじゃないのか。
警察に指示を仰いで、その上で自分たちの行動を判断しても遅くなかったのではないか。
山の仲間として、同行者にもっと声を掛け、
「どうして欲しいか」「(ボクらに)できることはあるか」を確認すべきだったのではないか。
救助の手伝いをされた方にも声を掛けるべきだったのではないか。
たとえ先に下山するにしても協力できることがほかにもあったのではないか。
今になって後悔、反省すべきことがたくさんある。
今回の経験を踏まえ、今後山登りにどう取り組むかを真剣に考えてみたい。


<個人的なメモ>
・耐風姿勢時は落下物が自分へ向かってこないを確認するため、前方を見ること
・そのため、サングラスまたはゴーグルは必ず着用すること
・アイゼン、ピッケル、ヘルメットは必携。身につけるタイミングをシビアに考える
・道具は使えてナンボ。滑落停止訓練をもっとすること
・危険な状況でもGOしがち。もっと的確&論理的な判断基準を
・自分(と相方)だけでなく、同行者の技術や経験を加味した計画を立てること
・レスキューにも関心を向け、講習会に積極的に参加する
・今後もし事故に遭遇したとき、何ができるか、どうすべきかシミュレーション











みんな、また、山へ行こう。
ンでもって、また、酒呑んでバカ話ぞ!









8 件のコメント:

  1. おつかれでしたぁ。

    亡くなられた方、私と同市内でしたね。ご冥福を祈りします。

    ほぼ私も同じ思い・考えです。
    かっちゃんとこにも書いてなかったので、少しだけ自分が気になったことを・・・。

    ルートに関する認識があまかったんじゃないかな?6合の小屋までは前回行ったし問題ないけど、そっからさきはどこ行っていいか分かってなかった。他の人のブログに「ブル道直登を避けて夏道に行った」って書いてあったけど、自分達はそのまま直登。あのまま事故に遭遇せず登っていたら上部のアイスバーンにそのまま突入だった。もちろんそこで判断してもいいと思うけど、予め回避できるにこしたことはないよね。やはり考えと知識があまかったんだと思う。それにあれは自分たちも滑落に巻き込まれておかしくない状況だった。そこまで考えてルートを選んでもよかったかなぁ。難しいけどね。

    あと1つ。事故に遭遇したときピッケルを持ってるのはおいらだけだったよ。まわりの他の登山者もストックだったし。オレは誰よりも臆病だから、すぐにアイゼンピッケル装備にしたけど。だから自分がえらいってんじゃなくて、あの斜面でストックでは止まらないのを分かっていてもそのままストックで進むのは良くなかったんじゃないかな。あそこならピッケルもってればこけても止まるよね。あのあと斜面上で強風の中ストックからピッケルに変えるのは大変だよ。

    あとよくわかんないけど、あのときの風ってそんなたいしたことなかったよね?俺は低山ばかりだから良くわかんないけど、2000mぐらいでも天気が悪ければあれ以上の風はよくある。ただ風に伴う落石などは要注意だった。でも富士山の強風ってきっとあんなもんじゃないでしょ?

    以上気になったことでしたぁ。

    前日の酒飲み馬鹿騒ぎのアップも期待してるよん♥

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  2. ちんちゃん、お疲れっした!

    上記3点について、ちんちゃんの言うとおりだと思うよ。
    ルートに関しては実際他の人をあてにしていた部分があったと。いかんね。
    そもそも無雪期に行ってないのがナメとります。

    ピッケルに関しては、
    事故に遭遇する前にそもそも危険という認識が自分自身あまりなくて、
    滑落を目撃してはじめてヤバいと感じた次第。
    高さについても同じことが言えるんだけど、慣れというかマヒというか
    危険を感じる自分のセンサーがすぐバカになってしまう。
    ナメック星人たるゆえんだね。

    風についてももちろん(富士山は)あんなもんじゃないんだろうね。
    ただ、なんて言っていいかわかんないけど、
    他の山の稜線の風と性質が違うというか、
    あのときもドンッという感じで風の塊が来たという印象。
    流れではなくて波みたいな、加速度というか、うまく表現できないけど…。

    いずれにせよ今回の経験を糧としたいね。
    ボクは基本ナメックなので、ちんちゃんのコメに感謝です☆

    ※馬鹿騒ぎアップに関して、ほぼ記憶なしorz…。



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  3. >hansusya-san
    こんにちは。

    この度は大変なご経験を共有させて頂き感謝いたします。
    文頭にもありましたように、記そうか、記すまいか悩まれたとのこと
    お気持ちお察しいたしますが、記して頂きましたことまことに感謝です。

    わたくしも、基本的に飲みながら山行、よそ見しながら山行などと
    「ながら登山」の傾向が強く、当ブログを拝見させて頂いて、
    身の引き締まる思いがいたしました。

    今一度、わたくしの仲間も含めまして気を引き締めつつ笑顔を作り続けたいと思います。
    お亡くなりになられた方のご冥福を心よりお祈りいたします。

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  4. s-sofさん、コメありがとうございます。
    基本的にボクらはナメック星人なので、
    今回の経験でいろんなことを改めて考えさせられました。
    今までそこそこ山へ登ってきましたが、
    今思うと、それは登ったのではなく、
    “登れた”だけだった山も多かったような気がします。
    とどのつまり、ラッキーに他なりません。

    誤解を恐れずに言うと、また大袈裟に言うつもりもないのですが、
    このたびの件で、自分たちの山に対する姿勢を振り返る機会となったことは事実です。
    ただ、楽しい山を否定するつもりは毛頭ありませんし、山は楽しくなくてはいけないとも思っています。
    では、楽しさとはなんぞや、と。それは恐らく人それぞれなのでしょうね。

    今回の件において、ボクらは第三者でしかありません。
    同行者の心の内を察すれば言葉もありません。
    また、遭難された方、ご遺族の方々には言うに及ばずです。
    それでもなお、自分自身に関わることとして考えていきたいと思っています。

    今後もまた、楽しい山登りを続けていこうと思っています。
    ぜひご一緒しましょう!

    ※個人的にお誘いしたいのですが、
     もしよろしければメルアドを教えてください。
     上部の「非公開メッセージを送る」にコメントいただけると
     ボクにしか見えないので、ひとつ4649です☆

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  5. 最初に滑落してしまった方のご冥福を心からお祈り致します。

    だいちゃん、KK
    他、パーティーの皆が無事下山出来た事本当のお疲れ様でした。

    ここで書く事ではないかもしれないけど↑でチンちゃんも反省的なコメントしてるので少しだけ。

    僕は今回同行してないので現場状況は解らないけど、チンちゃんのコメントから!
    せっかくヘルメットをしてたんだから皆がピッケルを使用すべきでした。

    独立峰の富士山の容から考えると主要ルート中でも御殿場ルートは比較的穏やかなルートだけど、かっちゃんのところでも少し書いたけど冬富士は別物。

    御殿場ルートは南東側から北西に向いてアタックします、冬型の北西風がきついといきなり突風が左上から襲ってきます。
    上方から小石等が急に降ってくる時は裏側に当った強風が舞って降りてきてて、小さいのがまとまると大きな突風が来る合図と昔教えられました。
    その時、常に耐風姿勢に入れない状態だと意図も簡単にバランスを崩して横に飛ばされると。
    夏道に逃げるのは容上一番風が当る面から少しでも逸れる為だと考えられます。

    低気圧の時は逆に南西風の突風が時折襲ってきます。
    身体が楽に浮く位の突風が来ると教えられました。

    良かったら参考にしてね。

    楽しい登山が出来るよう常に最悪の事態を想定した上で対策を講じて挑めばどんな状況でも楽しい登下山になると思います。

    最後に、文面内容が滑落された方の関係者様にとっては今は適切でないかもしれませんが、僕にとって大切な山仲間への分として、どうぞお許し下さい。



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  6. ひろくん、おはようございます。
    丁寧なコメント、ありがとうございます。

    ピッケルについては、ちんちゃんとひろくんが言うとおり
    アイゼンを付けた時点で使用するべきだったと思います。
    少しズレた話かも知れないけど、
    アイゼンを付ける→ツボ足では滑る(から)=滑落する可能性アリ
    と考えると、アイゼンとピッケルはセットと考えるのが合理的なのかな。
    これまでの山登りを思い返すと、アイゼン×ストックの組み合わせもよくあったんだけど、
    そのときはなんとなくストックの方が歩きやすいという感覚で使っていた気がします。
    もちろん、広い稜線で滑落の心配がないところではストックという選択もありだと思うのですが
    冬富士は常に雪斜面なので、(アイゼン×)ストックの選択はありえなかった、と。

    山では臨機応変の対応が求められると思うんだけど、それはまず基本があって、
    基本では通用しないときになってはじめて臨機応変な対応が求められるわけで、
    僕レベルの登山では臨機応変が求められるような状況=ヤバい状況と考えるべきか、とも。
    今回の冬富士でも夏に登ったこともないのに、
    「まあ、アカンかったら撤退」という曖昧かつナメた姿勢だったと深く反省してます。

    富士山の風についても、(18日は)北西から強風が来るという認識しかなく
    登りは正面(および左)方向から吹いてくるけど、下りは背面から吹いてくるのでヤバいな、くらいの感覚でした。
    そこで思考停止というか、突風が来る兆候やコケたら止まれるのか、雪面の状態はどうなのか、を
    トータルで判断する知識も技術も経験のなかったと思います。

    まとまりのないコメバックですみません。
    またいろいろ教えて下さい。とりあえず年末。
    ありがとうございました☆


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  7. 全員無事帰還、お疲れ様でした☆
    自分達の行動について整理つかない部分が多くあるのが正直ですが、反省点ばかりの個人的所見を。。。

    ○ルート・状況判断について
    登攀ルートに迷いがあり、冬富士の風も考慮したルート判断ができていなかった。
    実際、皆であっちだこっちだと議論が多かった。先頭を歩いていた時もどこがベストなのか分からず、困った。
    2800m付近でブル道へ向かったのも、ブル道と夏道の合流点に先行者がいたからだ。
    先行者はブログの2名で、彼らは夏道からその地点にいたと思われる。
    ○ピッケルについて
    個人的見解では、まだ必要無いと思っていた。傾斜もさほどきつくなく、風も強いとは感じなかったためであるが、
    ぶっちゃけ新六合目でちんちゃんが替えたのを見て、ハーネスつけて横に刺しておくか、背中に刺しておこうかと考えた。
    しかし、歩行のしやすさを優先してしまった。
    ○耐風姿勢
    あの風は十分耐えうる風力だったが、雪片など小石が舞ってきたので、daiちゃんの様に顔を前に向けることができなかった。
    実際、滑落者の物と思われる携帯電話が降ってきて体に当たった。
    携帯電話であったから何ともなかったが、大きなものだったら巻き込まれていたかもしれない。
    ○パーティーのコミュニケーション
    僕はチーム宴のメンバーと冬山に登るのが初めてでした。
    なので、皆の知識や技術、装備について理解していなかったです。
    登る順番も適当だったし、最後尾も途中かなり離れていたなどチーム行動ができたなかったなぁと。
    なので登る前から途中も含めもっとコミュニケーションを密に取る必要があったと思います。
    ○冬富士という特異性
    他の山とは全く性質が異なる、明らかにすべてが異質・・・ざわざわ
    冬富士に対する準備ができていなかった、夏期の下見等は必須。

    などなど、長文駄文になったのでここらでキャインします。。。

    負け犬ブロス様のセックンのご提案、サンキューで〜す☆
    ピソ強行参加の予定ナリ(^^;)スケジュール作成よろしくお願いいたします! 

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  8. やっちゃん、まいど☆先日はお疲れっした。
    上記の件、うなずくことばかりです。サンキューです。

    コメバックしようと思ってるねんけど、
    なんか考えがうまくまとまらんです。
    今度会ったときにまたいろいろ話をしよまい。
    スマソ<(_ _)>

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