下山中、池山尾根で迷ったので、記憶が薄れないうちに先に書いておく。
空木岳の池山尾根登山道を下山したのは今回で4回目。過去3回は無雪期2回、積雪期1回。
過去3回はいずれも何の気なしに歩いて登山口までたどり着いたのだが
今回はなぜか途中でルートをロスってまった。
原因は単純で、ピンクテープを目印に進んでいて、図らずも冬ルートに突っ込んじゃったから。
しかも正規ルートに復帰したあと、なんと進む方向を間違え、山頂方向へ向かってまった!
ありえな〜い!と思うけど、「こんなことあるんや」と自分でもめっちゃ驚いた。
自分自身の未熟さおよびナメた思考・行動に反省しきり。
反省だけならサルでもできる。よって、キッチリとさらしておく。
長くて分かりにくいかも知れないので、興味がない人はスルーしてちょ。
出典◎地理空間情報ライブラリー http://maps.gsi.go.jp/#16/35.727214/137.844493
切り取り・作図等加工(以下、すべて同様)
以下、空木岳から順を追って/数字はMAPとの合番/帰宅後に検証・照合
※正確性に欠ける可能性がありますので、ご参考程度に留めておいてください。
・空木岳山頂から池山尾根登山道を下山
・登山道には所々に積雪があるものの、踏み跡&テープがある
①駒石を過ぎ、眺めのよい雪原の尾根を進む
②緩やかな尾根(たぶんp2415先の尾根)を踏み跡を頼りに進む。その先でアイゼンを装着
③目の前に岩稜が立ちふさがる(たぶんヨナ沢ノ頭だと思う)←この時すでに冬ルートに突入していた
→踏み跡は岩稜の左側(北側)とピーク左直登気味の2方向。直登気味に進む
④踏み跡が不明瞭になるもピンクテープが盛大に付いてあったので、それを頼りにさらに尾根上を先へ進む
⑤尾根の先端、おそらくp2282付近の遭難碑がある場所に到着。ピンクテープが尾根左側の立木に3つある
→尾根から離れトラバースするのかと思ったが、左斜面にはそれらしきルートが見当たらなかった
→ここではじめて山と高原地図を出し、ルートを確認しようと試みる
→現在地は尾根先端のp2282付近であることは間違いない
→山と高原地図では、p2282から尾根の右側をトラバースするルートが表示されていた
・そこで、そのルート通り尾根の右斜面を僕が下りていき偵察
→うっすらと踏み跡があり、赤テープも付いていたが、あまりにも道が悪い
→また、以前の記憶ではこんな道を通ったことがなかったので引き返す
・再びp2282付近に戻り、今度は尾根の直進を試みる
→シャクナゲなどが多く踏み跡も不明瞭なので引き返す
・さて、どうしようということで、冷静さを取り戻すために一服
実はこのとき、理解できないことで少々パニクってました。
・再び3本の立木に付いたピンクテープから左斜面をのぞき込む
→すると、下山方向とは逆側、つまり来た道からV字方向にピンクテープを発見!
→山と高原地図でも「迷尾根」と書いてある地点で見事にルートがV字に折れている
→なるほどと合点し、V字方向へ尾根を下りる ←間違い!現在地がp2282という判断と整合性がとれてないやん
⑥残雪の斜面を下りると、小尾根に乗っかり、左手に残雪のルンゼがある
→残雪ルンゼには踏み跡があり、そのルンゼが正規ルートだと思う
→しかし、斜度がキツかったので、小尾根を少し下りたあたりからルンゼに乗っかる
→身体を後ろ向きにして、アイゼンの前爪を蹴り込み10m弱下りた
・山と高原地図と照らし合わせ、この⑥残雪ルンゼが「小地獄」だと思った ←大間違い!
地図再掲
⑦ようやくしっかりした踏み跡があるルートに出てひと安心
⑧来た道から正面の尾根に踏み跡があったが、右に折れる方にはピンクテープがあった
→そのピンクテープに導かれるまま、右に折れる道を進む ←アホです!
⑨途中でやせ尾根の注意看板があり、そこでアイゼンを取る(下にある写真参照)
→つまり、小地獄・大地獄を通過したと思い込んでしまったわけだ
→以前に池山尾根を下りたときの記憶では鎖場があったはずだけど、
「今年は雪が多かったので崩壊してしまったんだ」と都合よく解釈 ←大バカ!
・アイゼンを取りさらに先に進むが、どう考えても感覚的に進んでいる方向がおかしい
→しかし、おかしいおかしいと思いつつも、道がしっかりしていたのでそのまま進む
→しばらくトラバース道を進み、その後踏み跡通りに雪斜面をほぼ直登して尾根を目指す
⑩尾根上に乗り、踏み跡通りに進んでいくと、前方から人の声が聞こえてくる
→4人パーティの方々に挨拶をするが、なんと、その方々は空木岳直下ですれ違った方々だった!
→なんで? いつ抜かされたんだろう? アレ???と頭の中は?だらけ
→その方々も「なんで?」という感じでした
→話をしてみると僕たちが逆進してきた、つまり登り返してきたことが判明。ガ〜ンorz
→しかも、小地獄と大地獄は通過していないことも判明
→じゃあ、あの残雪のルンゼは何だったの?
→てか、どこで道を逆に進んでまったの?
・とにかく来た道を戻るしかないので、4人パーティの方々にお礼を言って先に下山開始
→皆さんと一緒に下りるという考えが一瞬頭をよぎった
→でも自分たちで考えながら下りた方が、今後のためにはいいと判断しふたりで下山
・しかし引き返したところで、またもや僕がピンクテープに引っ張られヨナ沢ノ頭の方へ
→後ろからkkに「そっち違う!」と指摘され、慌てて戻る →学習能力なしorz
・来た道を戻り、やせ尾根注意の看板⑨を過ぎ、残雪ルンゼから下りてきた地点⑦に戻った
→ここでようやく、ルートが2つに分かれていたことに気付く
→つまり、僕たちが最初にp2282から下りてきたルートは「冬ルート」なんだと推定
→すると、今回の道迷いについてすべて合点がいく。なるへそ!
・で、ここから先は迷うこともなしに無事下山できたというワケです
・空木岳から林道終点の登山口まで約4時間の道のりを、なんと6時間15分もかかったorz
→計算上では2時間程度道に迷っていたことになる。とにかく疲れた〜
⑩の位置から南斜面をトラバースして夏ルートを通るのが正解なのだが、
今回は⑩の位置にはとくに目印がなく(見つけられなかっただけ?)、
ピンクテープ(冬ルート)に引きずられることなく夏道へ向かうのは困難だと思いました。
少なくともヨナ沢ノ頭の手前(空木岳側)で南斜面をトラバースするという認識がないと
おそらく僕たちと同じルートへ導かれてしまう可能性もあるのではないかと思います。
また、踏み跡を辿れば迷わないかも知れませんが、冬ルート方向にも踏み跡が付いています。
ご注意ください。
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さて、自分たちなりに検証をしたわけだが、
その過程で疑問というか、腑に落ちない点がいくつかあった。
Q1 国土地理院、山と高原地図ともに「迷尾根」付近のルートが間違っているんじゃないか?
Q2 同じく、小地獄と大地獄の位置がおかしいのではないか?
WEBの森をさまよってみるも、イマイチ確信が持てない。
なので、空木岳に一番詳しいであろう「駒峰山岳会」さんへメールをしたところ
以下のような回答をいただいた(転載許可を得ています)。
そのときに僕が添付した書類です↓
改行位置および赤字部分は筆者による
①について 夏及び残雪が少ない時はログルート(ログルートはWEB上から筆者が借用)をとうります。
小地獄を登ったところから南斜面をトラバースしてヨナ沢の頭より上部の稜線に出ます。
厳冬期及び残雪多い時はトラバースルートは危険ですので
小地獄を登ったところ から急斜面を登りヨナ沢の頭に登ります。
②大地獄・小地獄の位置は添付書(上のMAP画像)のとうりです。
また厳冬期及び残雪多い時はマセナギから上部は稜線をいくつかのピークを越えていきます。
無積雪はマセナギから大地獄手前の注意看板までは南斜面をトラバースしながら登っていきます。
ログルートは夏道どうりです。例年ですとこの時期残雪が多く小地獄上部のトラバースルートは
通過が厳しいのですが今年は中央アルプスにおいては雪が少ないため通過できたと思います。
指摘のとうり旧ルートは迷い尾根の看板から直角に曲がり尾根を登ってヨナ沢の頭にのぼっていましたが
下山時看板の所で直角に曲がらずまっすぐ中田切川に下って遭難するためトラバースルートを作ったのです。
旧ルートには 古い道標が残っていると思います。
とのことでした。
駒峰山岳会のH様、ご丁寧に教えていただきありがとうございました。
とても勉強になりました。
山と高原地図については以下の通り↓ ※筆者加工
↑小地獄の位置は合っているという記述もあります(16.03.26追記)
ちなみに、ヤマレコの現状マップは以下の通り↓
また、夏道も旧ルートのママのようですね。
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さてさて、今回で得た教訓。当たり前すぎるけどね。
・まず、山をなめたらアカン!
今回の道迷いの原因の根幹にあるのが、山をなめた僕の姿勢にあることは間違いない
何度か通った道なので、道迷いの可能性を考えさえしなかった
・山と高原地図ではなく、国土地理院の地図を持っていこう!←論外orz
山行前にはいつも国土地理院の地図を切り取って、磁北線も引いて地図を自作する
今回も自作しプリントアウトしていたのだが、家に忘れてきた
しかも、山と高原地図さえ忘れてきたので、駒ヶ根ロープウェイ乗り場で購入orz
「木曽駒・空木岳」の山と高原地図が2つになった。誰かあげるから言ってちょ!
・てか、地図を忘れないようにしよう!←終わってるroz
・地図読みができるようになろう!
知識としては知ってるつもり。でも、実際に使えることが大切なのは言うまでもない
今回図らずも(←当たり前)道に迷ったため、地図読みの大切さを身をもって痛感
家に帰ってから国土地理院の地図を見ながら、kkとあれこれ考えられたことが今回の収穫だろう
・コンパスは飾りじゃないよ!
ポケットに入れてすぐ出せるようにしておく(ザック中は出すのが面倒くさい)
・迷ったら元の道を引き返そう!
今回に限ってはピンクテープがずっとあったので、引き返すという判断は難しかったかも?
・看板をちゃんと見よう!←ワシの目は節穴かorz
残雪ルンゼから下り、最初にやせ尾根注意の看板を見た場所には迷尾根の道標もあった
その道標には登山口方面と空木岳方面がどちらかちゃんと書いてある!
やっぱり「命を守るものやから〜」
kkからお許しが出た。これが今回の最大の収穫だったりして(笑)
ということで、今回はこれにて。
せば。
だいちゃん&kk
返信削除中ア縦走お疲れっしたm(__)m
また、早速の検証お疲れ様!
池山尾根、僕は積雪期に一度下山で使ったけど僕も一緒で何にも考えずに普通に登山口に着いたのは、この検証の地図を再確認すると【積雪があった】から巻く事無く、そのまま尾根伝いに歩いて問題無かったんだと再認識。
山高地図はたまにポイントがずれてるというか5万1が故あのスペースには正確な位置の指示記載が難しいのかなぁ!?
大峯や特に台高南部はややこしいところが多々…………
⑤の地点でトラバースか?と左側確認→右斜面を偵察→尾根伝いを確認→一旦頭を整理→この時点では冬道で⑦の地点で夏道に合流してたんだけど、そのまま直進して⑧〜10へリンデしてしまった訳やなぁ〜
まあ、擁護する訳じゃ無いけど地形図見る限り尾根を中心に南北の地形が似てるから歩いてる時の感覚は錯覚してしまいそうな感じ。
ただ、コンパスで方向確認さえしてれば⑦の地点で?が出て⑧のピンクテープに引かれる事は無かったかもね。
結果的には、10の地点を起点に彷徨した事になるね。
どうもおかしいと疑問を持ちながら進んで、兎に角尾根を目指したのは正解だけど…………
やっぱり自分で【ちょっとでも?】が出た時はコンパス確認は必須かなぁ!
僕もこの前、西尾根でルンゼ一つ間違ってたし地形図で岩稜帯らしきもの(2282Pの上下)がある時の、中途半端な積雪がある時は特に要注意なんだと思う。
でも、そもそも論で山高地図に正規の夏道を追記載すべきやと思うわ。
積雪が有れば、そのままで多分問題無いだろうけど、雪が少ないか無ければ2282Pに向かってしまうような気がする。
山高地図に言うてみようかと思う。
まあ、長くなるからこの辺で(^_^)
無事下山して検証もしたんだから結果OK!
GPS、kkの許可おりて良かったねぇ!
命を守るものだからねぇ(^_−)−☆
ひろくん、まいど☆
返信削除以前池山尾根を通ったときの記憶では、難所とか迷うような印象がなかったので
そもそも冬ルートのことも頭になく、下調べをキッチリしなかったのがダメダメでした。
池山尾根のP2282付近は、山高地図に限らず、国土地理院もヤマレコもすべて旧ルートになっていました。
また小地獄の位置も、山高地図では⑧の辺り、ヤマレコではP2282のすぐ南にポイントされています。
ひろくんが言うとおり、現在のルートを各々知らせた方がいいと思いましたので
とりあえず大元であろう国土地理院さんにはメールしておきました。
ただ、国土地理院さんサイドにしてみれば、
一般人からのメール内容について正誤の裏を取らないわけはないと思いますし
ルートの変更・改訂のタイミングも随時ではないと思われますので
反映されるにはある程度時間が掛かるでしょうね。
>ただ、コンパスで方向確認さえしてれば⑦の地点で?が出て
>⑧のピンクテープに引かれる事は無かったかもね。
その通りでございます(^_^;
ただ、冬ルートから一般道へ復帰したことは分かったのですが、
そこが⑦の地点であると確実に認識できたのは、
いったん⑩まで行ってから、来た道を戻り返した後でしたorz
しかし、もしコンパスを出して⑧のピンクテープのある道の方向を確認していれば
その道がほぼ南下していることは容易に分かったはず。
で、P2282付近で南下するルートは⑧の道しかなく、
つまり自分たちは逆進している、ってことに気付いたかも知れません。
てか、そもそも⑨の「迷尾根」の道標には、空木方面と登山口方面の表記があったにも関わらず
それを見落としてしまうなんて論外以外の何ものでもありません。ほんまアホですorz
冷静な状況では信じられないような大ポカですが、
かなり焦ってた&正規ルートに復帰して安心しきってたんだと思います。
GPS、TKAのeTrex20にします。
地図の見え方とかスクロールの速さとか、ひろくんのeTrexを比べてみたいです。
ブログのネタにもなりますしね(笑)
daiちゃん&KK お疲れ様でしたm(__)m
返信削除daiチャンでも迷ってしまうことがあるんですよね(^^;;
やっぱり山って怖いですね。普通ではあり得ない??って事が起きちゃうんですね。
GPSは大切な命を守る道具だから、絶対に必要ですよね^_−☆
kaka、まいど☆
返信削除プチ迷いはよくあるんだけど、
今回のように焦ってしまうほどの道迷いってのは2回目ですわ。
1回目は昨年のGWに行った残雪期の小川山。
思うに残雪期って、まだ冬ルートが残っているし、夏ルートも整備されていない状況なので
よけいに分かりにくいんじゃないかな〜って、今回思いました。
GPSは現在地を把握するには一番手っ取り早いディバイスだと思います。
ただ、GPSだけに頼るのではなく、ちゃんと紙の地図が読めて・使いこなせるようになりたいです(^_^;